1月25日 『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』『1LDK、そして2JK。』

 せめて3日坊主くらいにはなりたいので更新する。毎日ちゃんとした感想記事を上げてる人のすごさがわかりますね……。昨日書いた内容的にその日読んだ本について毎日書くのが理想なんだけど、まあ、無理でしょうねえ。

 

 

『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります』

 著者:涼暮皐

 ☆3.9(謎の数字)

 

 “人の心”がない作品を書くで有名な涼暮皐先生の新作ラブコメ。HJ、NOVEL 0から出てる作品は積んじゃってるけど、今作と同じMFの『ワキヤくんの主役理論』は1、2巻共に読んだことがある。“胃痛ラブコメ”と呼ばれてたりしているが、それは未書籍化部分らしく、氏の本領はまだ体験したことがない。

 

 今作は一見あまあま系の小悪魔後輩ラブコメに見えるが、著者のファン及び周りの作家やらから散々“人の心”“人の心”と騒がれており、そう単純な作品でないことは明白であった。これは著者の作風、ファンの動向を知っていたから確信できたことであり、それによって読書体験が変わってしまったじゃないかムキピピポ~!と言いたいところではあるが、あらすじでは後輩ヒロインの意図の匂わせがあったり、公式ツイッター垢(クソディープな情報源)のわざとらしさを見るあたり、後輩ヒロインへ懐疑的な眼差しを向けて読むのが元から想定されているようであった。無駄になんか書いちゃったけど読み始めればね、まず3章のタイトルが「取り返しのつかない過去」になってる時点で察するよね。はい。

 

 中身はね、うん、よかった。序盤の後輩ヒロインムーブであまあまラブコメを装ってる部分は、それによる違和感を入れ込んでるからってのもあるけど、あんまりおもしろくは感じられなかったな。「ワキヤくん」のときも思ったから、これはいい悪いじゃなくて合う合わないのセンスの問題かも。ただ、物語の根幹にある設定が巧みで、それが徐々に明かされていく中盤以降はぐいぐい引き込まれ、最後は急転直下に……ハッピーエンド?で綺麗に締まる。こう書くとなんか結構好きっぽいな。実際めちゃくちゃに好評みたいで、観測範囲ではもう絶賛の嵐だった。それはもう、引くくらいに。うーん、実際おもしろかったけど、そこまでノるほどじゃなくてその温度差にうーむってなってしまう。まあ、そういうこともあるよね。“人の心”ムーブは傍から見てて内輪感、異端感が強すぎて、ある種遠ざける効果もあるんじゃないかな、そこばかりを魅力として強調するのはもったいないように見える。

 

 2巻のプロローグがカクヨムで先行公開されていて、そっちも読んだ。投稿サイトは全くと言っていいほど使わないから、カクヨムでまともにモノ読むの初めてじゃないか?? これも“人の心”ムーブがされていて、本編ラストからコレとか“人の心”おおおおみたいなことが言われていたのが気になって読んでしまった。いや、効いてるじゃねえか……。はい、確かに“人の心”ッッ! 現実が受け入れられなくてあははは笑いながら狂い喋ってる様子を文章で見せられるのは字面が間抜けで嫌い。

 

『1LDK、そして2JK。 〜26歳サラリーマン、女子高生二人と同居始めました〜』

 著者:福山陽士

 ☆3.4(謎の数字)

 

 JK2人と社会人が同居するやつ。出たときはスルーしちゃったけど、最近髭が話題になってたから明らかに意識したであろうこっちも買ったよ。これもカクヨム発らしいし公開日見たら完全に後発だった。買った理由も理由だからどうしても比べてしまいますね。

 

 JK2人のうち1人は従妹。シングルマザーの母親が蒸発したから従妹の高校近くに住んでる主人公が引き取ったよ、合法。もう1人は家族にイラストレーターになる夢を否定されたから家出してきた少女を拾ったよ、違法。当然違法だからダメなんて言う気はない、が、現代日本を舞台にしている以上はなにかしら犯罪行為であろうがいとわぬに足る理由が欲しいところ。髭はその辺を主人公が信じる正しさ(大人は子供を守るべきみたいな、人によっては結構キツく感じるものであるし、実際作中でも周りの人間からその正義観に対して突っ込みが入ることになる)により処理していた。今作の場合は、家出少女「親は体面を気にするから捜索願なんて出されないと思うよ」主人公「従妹は今まで家に女性しかいない生活してきたし家出少女がそう言うならいいかあ」てなノリである。主人公に髭ほどの強い個性はないが、そのおかげか作中全体に緩い空気が流れていて、より気楽に楽しめる作品になっていた。

 

 イラストレーター志望の少女が家から出た作品、他レーベルにもあったなあ。絵を描く以外に能のないヒロインの個性を認めろと言っておきながら、レタスの加熱調理を許さない主人公があまりにも厳しかった。